Q 黒曜石を拾ったのですが…
畑や荒地をつぶさに観察してみると土器の破片や石器などが見つかる場合があります。これは、土の下に埋もれている遺物が撹拌(かくはん=混ぜられて)されて表面にあがってきたためです。このように、地下に遺跡や遺構がある場合には、表面に遺物が散乱することで、遺跡を発見することができるのです。
さて、ご質問の黒曜石ですが、遺跡からは石器を製作したあとの黒曜石の破片が数多く出土します。もちろん石鏃などの石製品(石器)もたくさん出土します。お住まいの近くにも遺跡がありますし、お話しにあった黒曜石の破片も何らかの理由で地表に表れたものの可能性があります。ただし、道路の舗装などに使用している砕石には黒曜石が混ざっている場合もありますし、また、どこか別のところから持ってきた土砂の中に入っていたなどの可能性も考えられます。これらに含まれている黒曜石も、見た目には遺物の黒曜石とは区別がつきませんので、正直なところ遺物かどうか判断できかねます。実物を見ていないことや、出土状況(周囲の土の状況や出土層位)などの詳細な情報がありませんので、遺物かどうか判断することはできませんが、黒曜石が落ちていてもなんら不思議なことではありません。
私たちのような仕事をしている人たちのなかには、遺跡から出土する石については黒曜石偏重の傾向があります。黒曜石は科学的に分析しますと、その構成物質によって産出地(採取地)が特定できるので、重宝がられているからです。このため、一般の人にも黒曜石が注目されるようになったのでしょう。しかし、黒曜石のほかにも、産地が限定できる破片もあるのに、こちらには目もくれず黒曜石ばかりが注目されるのはちょっとおかしい気がします。
ちなみに黒曜石は、宝石(宝石としての名称はオブシディアンといいます)としても知られる天然のガラス質火成岩です。溶岩が地表付近で急速に冷えて、鉱物の結晶が形成されずにガラス質になったものです。打ち欠いたときに縁辺が鋭利になるのを利用して、古くから石器に利用されていました。
また、近年では、比較的簡単にできることから、石鏃などを自作する人たちの増えてきました。中には作成キットもあるようです。もし、ご自分で石器を作成したりする場合には、生じた剥片(石のカス)の処理や作品の取り扱いには十分に気をつけてください。
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